「デッドエンドの思い出」

デッドエンドの思い出よしもとばななの短編集。この本のなかのお話はどれも好き。

ちょぴりとせつなくて、それでいてすごく幸せな空気の中で、たんたんとどこにでもありそうな出来事が起こっていく。あたりまえの幸せを、ああいうふうに言葉で表現できるのってすごいなぁ。

デッドエンドの思い出っていうお話の中で、天気の良い公園の芝生の上でお昼ごはんを食べながら、みみちゃんが、西山君っていうお友達に「ねぇ、西山君にとって、幸せってどういう感じなの?」と聞くのです。

みみちゃんにとっての幸せは、のび太くんとドラえもんなんだって。

のび太くんの部屋のふすまの前でふたりは漫画を読んでいて、そのあたりに漫画がてきとうに散らばっていて、のび太くんは折ったざぶとんにうつ伏せでもたれていて、ドラえもんはあぐらをかいて座っていて、漫画を読みながらどら焼きをたべているの。
二人の関係性とか、そこが日本の中流家庭だってこととか、ドラえもんが居候だって言うことを含めて、幸せってこういうことだなっていつでもおもうの。

 
っていうみみちゃんの言葉に、いまの自分のなんにもない毎日が
ものすごくステキに思えてきて、ああ幸せだなぁって思えてきます。