植物のはなし

毎日まいにち、大量の切花、鉢もの、苗もの、そのほかが入荷されてきます。はじめてみるものもあるし、名前を知らないものもあります。それでもお客さんは聞くのです。わたしに!
いつ植え替えたらいいかとか部屋の中においてもいいかとか、そんなこと。まぁ、たいてい一般論で答えます。
毎週、新聞のいとうせいこうさんのベランダー派というコラムが面白くて、チェックしています。そこに書いてあったこと。

「剪定の時期、強さを間違えると咲かない」という警告もあり得るし、「下手な剪定は植物自体を枯らしてしまう」という恐ろしい指摘もあろう。こうなれば剪定しない方がましではないかと思えてくる。また「基本的に剪定は欠かせないが、剪定せずとも咲く場合がある」という人もいるだろうし、「剪定はいらない。だが、剪定しても咲く」という人があるかもしれない。もう何が何だかわからない意見だが、実は園芸書がそんな感じだ。

偉い先生の書いたご本でさえ、咲くかもしれないし咲かないかもしれない。とか、切りすぎはよくないけど、切らないのもよくない。とかこんな感じなのですよ。いっかいの花売り場店員にあんまりいろいろ聞かないでください。(知ってることを聞かれるのは好き。)
なので、あんまり突っ込んだことを聞かれたときは「本を読んでみたらどうですか。」とお勧めしています。だってひとつの品種で分厚い本が一冊書けるくらいなんだから。
今日はお客さんになにかを聞かれて「******だと思います。」という答え方をしたら、「だと思う、じゃあ困るのよ!」怒られちゃった!
そんなこんなで、私はカップルで来るおきゃくさんが好き。若い夫婦とか付き合ってる二人とかだったら、いろいろ質問されて、答えるとすごく一生懸命はなしを聞いてくれて、「ありがとう」を連発して、帰るときには二人でにこやかに「枯らさないようにちゃんと育てようね」とか幸せっぷりを振りまいて帰ってゆくのです。まぁ、それを恨めしい目つきで見送る私ですが。
やっぱり彼氏がいないとおにばばになるのかしら。おばさんやおばあさんでも、怒りっぽい人とやさしい人がいるし、たまたま機嫌がいいとか、たまたま機嫌が悪いとかそれだけかもしれないけど、にこにこしている人のほうが気持ちがいいよねぇ。
まぁ、そんなこと言ってわたしはバイト中はつまんなそうな顔かしんどそうな顔をしているらしい。おなかがすいたり疲れ果ててたり。

それはそうと、質問してくるお客さんはたいてい忠告を聞かないんだとおもう。うちの母親がそうです。
買ってきたバラの鉢を「今はこのままにしておいたほうがいいよ。」といったにもかかわらず植え替えてる。そして枯れてる。
まぁ、世の中の人たち、みんなが上手に鉢植えを育てられたら花の農家もお花屋さんも商売あがったりだもんね。